壁ツェーン

オンギャーの思考回路

Corne Cherry V3 を組み立てた

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自作キーボードデビューです!

みなさんお久しぶりです。卒論が一段落したのでこれについて書こうと思います。

経緯

いや~、前から興味はあったんですよね、自作キーボード。最初期は PCB も自分で起こしてみようかなとか思ってたんですが、さすがに最初でそれは無理があるだろというのとそんな時間がとれなくなってきたというのがあって断念。 それでも諦めきれず、最近ハンダ付けを要する電子工作をやってないなあという思いもあったところ、バイトの昇給が知らされ(ありがとうございます)購入に至ったというわけです。

要は組み立てるのが楽しそうだから買っちゃった。

パーツ選定

さてどのキットを買おうか。とりあえず左右分離式のを買うのは元々決めてたので、あとはどれぐらいのキー数のものにするかです。多少は攻めたキー数でも良いよなあ……

オッこの Corne Cherry V3 とかいうのめちゃカッコええやんポチ~~ッ!!

さて、キーキャップは……変態配列になるの確定だから無刻印しか選択肢ないな。DSA プロファイルにしてみようか。かなり低背っぽいけどまあいいでしょう。 キースイッチはまあ茶軸でいいでしょう。 Gateron ってとこにしてみよう(ケチりたいともいう)。

かなりノリで決めてしまいましたが、まあなんとかなるでしょう。

組み立て

作業環境

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組み立てにあたって色々ハンダ付けに便利そうな工具とかを予め揃えておきました。 その中で特に「これ無かったら死んでたわ」というアイテムは、

  • 逆作用ピンセット(ホーザンのやつ)
    • 特に表面実装のダイオードを仮止めする際にめちゃめちゃ役立ちました。今まで表面実装の部品のハンダ付けはやったことがなかったので不安でしたが、こいつのおかげでかなり苦労が緩和されました。
  • 吸煙器もどき(自作)
    • 逆接続によってLED が死んでしまった Sirius Pure をちょっと加工して換気扇のフィルターを貼って吸煙器っぽくしました。テストでヤニの煙を吸わせてみたところ、 12V フルパワーで回ってくれたのでけっこうな勢いで煙を吸ってくれました。 これはこれで無いと喉を痛めがちみたいだったので用意しておいて良かったですね。あ、もちろん部屋自体の換気も忘れずに。

ダイオードの取り付け

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細けえよ!!!!!

ビルドガイドとにらめっこしながらひたすら FX-600 を握りしめてハンダ付けしてましたが、まあ数の多いこと多いこと。途中で紛失したりはしませんでしたが、多めに入ってて良かったですね。

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……と、まあ死にそうになりながら 42 個のダイオードの取り付けを終えました。この後のほうが大変なのにね……

LED の取り付け

LED だって広義にはダイオードじゃねえかというツッコミは置いといて、次は LED の取り付けです。

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WS2812B はまだいいんですよ。まあまあデカいし。 SK6812MINI-E はいくら裏向きに取り付けるとはいえ小さいのですぐにズレてしまって大変でした。

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さらに死にそうになりながら LED の取り付けも終わりました。無事ではないです。なぜ無事ではないのかというと……。

Pro Micro など

これは~まあ今までのと比べれば屁でもないですね。キットに標準でコンスルーのピンが付いてるのは優しすぎて泣きました。ありがとう……。

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動作確認

さてここで動作確認のついでにファームウェアを書き込みます。とりあえず差したままで書き込んでみると……おや?右手側が反応しないぞ?とりあえず書き込むのは外してやれば問題なかったので Pro Micro 側の問題ではなさそう。 左手側に右手の Pro Micro を差しても問題なし。逆は……やはり反応しませんね。ということは右手側の基板に何か問題がありそう……。

まずい、このままでは 2 万円が水泡に帰してしまう(そんなことはない)。テスターで地道にチェックしたところ、 VCC と GND がショートしてしまっている模様。基板に特にキズはないので、 LED の取り付けの段階でどこかがショートしてしまったようです。これは面倒だぞ……。

色々試した後、右手基板の LED を全てひっぺがしたらキーボードとしては生きていることが判明。助かった……。光りはしなくなってしまいましたが、元々光るキーボードを求めていたわけではないのでこれでいいでしょう。

ソケットとキースイッチ

デカいので問題ないですね。 あ、でもキースイッチは真上から差し込まないと端子が曲がってしまうので注意が必要ですね。

完成

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キーマップ

さあここからが本番です。なにせこのキー数なので、修飾なしで押せるキーはそれなりに考えなければなりません。

日本語入力には SKK を使っているので、Shift と無変換・変換はできるだけすぐ押せたほうが良いです。でも後者は切り替え頻度はそれほどでもないので親指で押せればいいかな。 するとあら不思議、親指シフトもどきになってしまいました。右手の斜めキーはスペースで決定ですね。

次は Lower レイヤー。数字列と残りの記号類、あとカーソルキーも入れておきます。これで普段の入力にはほとんど困らない程度まできました。そして Raise レイヤーは例の 3+6 キーを入れて……。ああそうだ、ファンクションキーがまだだった、せっかくだし左手に Lower レイヤーと合わせて 6 キーずつ入れとこうか。

……という感じで、最終的に以下のような感じになりました。 macOS でも使えるように、英数/かなキーも入力できるようにしたりしています。

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キー印字

無刻印で使えるほどまだかしこくないので、何らかの方法でキーキャップに印字を入れたくなりました。手軽にできそうで最初に思い付いたのは、透明なシールに印字を印刷して貼り付ける方法です。 エーワンの A4 フリーカットの透明シールを買って、 Affinity Designer でデザインして印刷。

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印刷するとこんな感じになりました。中々きれいです。 (まだキーマップが固まってないころのものなので今のキーマップとは違います)

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で、こんな感じでデザインナイフでキーごとに切って貼り付けていきました。

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追加作業

コンスルーで Pro Micro を取り付けているのでそこまで心配する必要はないんですが、念には念を入れて、ということで USB microB 端子をエポキシ接着剤で固めるやつをやりました。

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この接着剤、めっちゃ懐かしい匂いがしますね。逆にいえばあれはエポキシ系の匂いだったんだなあ。

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使用感

ここ 2 週間弱使ってみた感想をざっくり書いていこうと思います。

  • 左右分離慣れるの大変
    • これは厳密には Corne Cherry 関係ないですが、今までタッチタイピングではなく出張打鍵を色々やっていたので分離すると完全分業を要求されますね。とはいっても 1 週間ぐらいで慣れました。
  • デスクの圧迫感がかなり減る
    • 個人的にはこれが一番嬉しかったです。実際の面積としては 1/2 ぐらいだと思うんですが、キーの行数が減ったことで感覚的にはかなりスッキリしたように思います。
  • レイヤー切替えを挟まない分には普通に速く打てる
    • 特に日本語だけを打ってるときなどは殆ど遜色ないスピードで入力できている気がします。でも "ー" の入力がちょっと遅れてるかな。まあこれも慣れれば特に問題にはならないと思います。
  • 肩の疲れは確実に減った
    • やはりというかこれが左右分離の強みですね。間にスマホを挟むように配置できるのでエッチな動画を見ながらでもコーディングできますね!
  • 楽しい
    • 自分でキーマップを考えてレイヤー切り替えを駆使しながら入力するのは、なんというかこうプリミティブな楽しみの一種を感じます。自由自在感とでも言いましょうか(自由自在にはまだ程遠いが……)。

今後の予定

仕事用に、そしてリベンジとしてもう 1 台ほしいですね。数日中に買おうと思っています。

それからキー印字ですが、シールだとちょっとシールの縁が反射してあんまり美しくないので、熱転写であらためてやる予定です。この記事を書いている 3 日ぐらい前に、アイロンプリント.com にデザインをすでに入稿しました。 たぶんそうすれば何度か洗っても落ちなくなるでしょうし、もう少し見やすくなって良いんじゃないでしょうかね。個人的には天面より前面に印字されているほうが好きなんですけどね。はい、僕は Majestouch BLACK ファンボーイです。

ああそうそう、Fn1 ダブルタップで Fn1+Shift みたいな挙動にしたいんですが、どうも prebuilt なファームだと無理そうなので自前でビルドする予定です。もしできる方法を知っている方は教えていただけると幸いです。

この記事はもちろん全編 Corne Cherry V3 で書きました。

追記(2021-2-14(Sun))

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2 台目を入手して組み立てました。慣れもあって大体 4 時間ぐらいで組み立てを終えることができました。

で、成功失敗でいえばわずかに失敗ということになりました。今度は左手側のバックライト LED の取り付けに失敗してしまったのです。 仕方ないので、今回の右手と前回の左手を合わせて完動品にしました、 それにしてもハンダがブリッジしている様子もないのになぜ VCC と GND がショートしてしまうんでしょうかね……?やっぱり熱で壊れてしまうのか。そうだとしたら LED だけ従来の錫鉛ハンダで作業したほうが確実かもしれませんね。

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バックライト LED が透けて見えてほしかったので半透明のキーキャップを入手したのですが、思ってたよりイケイケな感じになりました。ゲーミングとはまた違った趣がありますね。 点灯パターンもファームウェア改造でどうとでもなるでしょうし、自分好みのパターンを模索していきたいです。

追記(2021-2-17(Wed))

これは主に自分に向けたメモです。

  • SK6812MINI-E がマジで熱に弱い。ダイオード類は有鉛ハンダで 200 度ぐらいでハンダ付けしたほうがいい。
    • 組み立て説明書には 320 度でも大丈夫って書いてあったので油断した。あれはギリギリ。
  • OLED の保護プレートのスペーサーが当たる位置に VCC と RST の配線がある。怖すぎる。だから被覆を削ることのないようにプレートにスペーサーをネジ止めしてから基板にネジ止めしなければならない。
    • 正直これについてはちょっとどうなのと思うところがある。スペーサーが当たりそうな領域は避けて配線してほしい感がある。これは V4 に期待したいポイントかも。